ヴェローナのヴェロネーゼ展(会期終了) |
少々の無理をしても、がんばって来て、やっぱりよかった。
大好きなヴェロネーゼの絵を前に、心がじんわりとした。
もともとヴェネツィアの美術館や教会から出ている作品も多いし、ロンドンのナショナル・ギャラリー、パリのルーヴル、マドリッドのプラドなど、欧州の主な美術館の所蔵品は、たいていこれまでに何度か見ている。いや、ヴェロネーゼこそ、パラッツォ・ドゥカーレやサン・セバスティアーノ教会、と、ヴェネツィアでしか見られない作品がいっぱいある。だからわざわざ、世界中からかき集めた展覧会に無理して行くこともないか、と思ったりもした。
だけどやっぱり、好きなものは好きだった!!!
そしてもちろん、たくさん見ているとはいえ、初めてのものもいろいろあったし、ルーヴルや大英博物館、ウフィツィなどの素描室所蔵のスケッチが、該当の作品とできるだけ同じ部屋、比較できる位置に展示されていたのもとてもよかった。
16世紀のヴェネツィア黄金時代、3大巨匠とされるティッツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼのうち、前者2人に比べて「好き」という人も、なんとなく研究者も少ない気がする。ひたすら派手で華やかで、「影」の少ないところがおそらく、「好き」宣言をすることためらわせるのだろうか?記念碑的な巨大な作品も多く、なによりも祝祭的雰囲気をたたえた「クラシック」な画風は、ナポレオンにとくに気に入られたことで知られる。
私はとくに、晴れ晴れと、だがにぎやかな構図とその色、空の青、そして装束の美しさがお気に入り。
そして気になるのは描かれた人々。ヴェロネーゼの絵に登場する男性たちは、肖像はもちろん、神話でも宗教画でも、老いも若きも、子どもたちも皆、とてもリアルで、パン屋のおじさんだとか学校の先生とか、ともかく「あ、この人、見たことがある」という顔をしている。
だからこそ、それぞれの場面がとてもリアルなのだが、女性はすべて、ふわふわとかわいらしく理想化され、逆に今どき見かけない人ばかり。むしろ、この白ぽちゃぶりは、現代の「理想」とはほど遠い。女性の美の基準がそれだけ変わっていることを実感しつつ、それでもやはり神々しいまでの美しさを感じるのは私だけではないだろう。
なお、「ヴェロネーゼ(Veronese)」は、ヴェローナの、ヴェローナ人、という意味でこの町出身の彼の通称。本名はパオロ・カリアリ(Paolo Caliari)で父親は石工だった。
だから、このヴェローナでの大規模企画展は、長く待ち望まれたものだったと言える。
既に終了した展覧会の紹介で恐縮だが、自分の記録と記憶のために。
一度はずいぶん頑張って、ヴェネツィア内外のヴェロネーゼを訪ね歩いたりしていたのだけど、久しぶりにまた、回ってみたくなった。
またもや、ずいぶん昔のHP・・・
http://www.geocities.jp/vivereavenezia/pres.veronese.htm
また、同じヴェネト州内各地で、ヴェロネーゼ関連の展覧会が開かれており、時期を同じくしたヴィチェンツァのみ既に終了しているが、パドヴァ、カステルフランコ・ヴェネト、バッサーノ・デル・グラッパの3カ所は1月まで。
どれもぜひとも行ってみたいけれど、どうだろう・・・?
www.scopriveronese.it
(画像は一番下をのぞいて、公式サイトより拝借)
パオロ・ヴェロネーゼ 現実のイリュージョン
ヴェローナ、10月5日まで
Paolo Veronese. L’illusione della realtà
Palazzo della Gran Guardia
Piazza Bra, Verona
5 lug - 5 ott 2014
www.mostraveronese.it
14 ott 2014