パラッツォ・ドゥカーレの秘密の教会 |
ヴェネツィア共和国時代、国会議事堂、兼、裁判所、兼、総督(ドージェ)の官邸、私邸でもあったパラッツォ・ドゥカーレ(Palazzo Ducale)の中で、長らくひっそりと隠されていた秘密の部屋が、7年にわたる修復期間を終え、晴れて一般公開となった。
小教会(chiesetta)と呼ばれるこの部屋は、16世紀、ドージェの専用礼拝堂として「謁見の間」、「元老院の間」の裏に作られる。
共和国の終焉後、オーストリア政府により主に事務室として利用され、その後、一度は博物館の一部となるものの、1900年より2006年まで、完全に倉庫となっていた。
主祭壇は、ヴェネツィア・ルネサンスを代表する16世紀の建築家、ヴィンチェンツォ・スカモッツィによるもの。中の聖母子像は、ヤコポ・サンソビーノによるとされるが、これは完成には弟子の手も入っている可能性も指摘されている。
壁と天井は、18世紀に描き直されたもので、現在のヴェネツィア・サンタ・ルチア駅隣、サンタ・マリア・デッリ・スカルツィ教会の天井画などで知られるジローラモ・メンゴッツィ・コロンナ(Gerolamo Mengozzi Colonna)および、ティエポロ派で、カ・レッツォーニコ(Ca’ Rezzonico、現在は18世紀博物館)も手がけたヤコポ・グアラーナ(Jacopo Guarana)による。
天井は、 聖マルコ、ヴェネツィアと幸福の擬人像たちおよび、思慮と賢明の寓意(S. Marco, Venezia e figure simboleggianti la pubblica felicità e le allegorie del Consiglio e della Prudenza)。
トロンプ・ルイユ(Trompe-l'œil)と呼ばれるだまし絵で限られた空間を広く開放的に見せている。
一方、教会前室(antichiesetta)の天井は「良き政府の寓意」。
こちら現在も、修復などの作業現場として利用されているが、ここには、サン・マルコ大聖堂のファサードのモザイク画のモデルとなった、セバスティアーノ・リッチによる「聖マルコ、聖遺体の搬送」が残されている。
パラッツォ・ドゥカーレの小教会、教会前室の見学は、予約制ガイドツアーのみ。
ツアーは毎日、
11時〜イタリア語
11:45〜英語
12:30〜フランス語
オンライン購入ほか、詳細は、公式サイトでご確認を。
http://palazzoducale.visitmuve.it/it/pianifica-la-tua-visita/percorsi-speciali-i-tesori-nascosti-del-doge/
2 apr 2015