その後が気になる「ベリエ一家(Le famille Bélier)」 |
世の中にはいろんな家族がいる。
フランスの田舎で酪農業を営むベリエ一家は、毎日明るく楽しく仲よく暮らしている。ちょっと短気だけどおっきい心のお父さん、美人でスタイルもよくてメイクもばっちりのお母さん、高校に通うお姉ちゃんと中学生らしき弟。
はためには、ごくごく普通の一家、だけど、もし、あえてちょっと違うところをあげるとすると、お姉ちゃんをのぞいて全員が聾唖であること。
もっとも彼らはふだん、全く気にしていない。それどころか、現職市長が選挙前に「障害者にやさしい社会を実現する」と媚を売りにくると、お父さんは「我々は障害者ではない!」といきり立ち、そして・・・行動に出る。そう、聾唖の一家ときいて引く必要は全くない。なにしろこの映画は、笑いでいっぱい。
だがそんなコミカルな一家にも転機が訪れる。唯一の「健常者」であるポーラ(お姉ちゃん)はひょんなことがきっかけで、歌の才能を見出されてしまう。ものごころついたときから、一家と外とを結ぶ通訳として生きてきたポーラは果たして、自らの夢を追うために旅立つことができるのか・・・。
なんてことはない、実はごくごくふつうの、親離れ、子離れのお話。それが聾唖の家族と「歌」という要素で映画という形に仕立て上げられただけ。でもそのさじ加減が絶妙で、こういうセンスはさすがフランス、と唸ってしまう。
彼らのその後が気になってしまう、そんな映画。
La Famiglia Bélier (原題 La famille Bélier)
Eric Lartigau監督、仏、100min, 2014
出演 Karin Vlard, François Damiens, Eric Elmosnino, Lauane Emera, Roxane Duran
10 apr 2015