第33回トリノ映画祭、過去と未来と現在と |
(オフィシャル・カーはやっぱり、チンクエチェントだった・・・)
今回、たった2日間で8本、映画祭を見た、とは決して言えないけれど、それでも映画祭らしく朝から晩まで映画をみて、やっぱり映画って楽しい、と思った。
コンペ以外で見たのは、1つは「やがてくるもの(Cose che verranno)」部門で上映された日本の大友克洋監督の「AKIRA」。1988年の作品だが、私は観るのは初めて。実を言うと、原作の漫画は昔、弟が持っていたので家にあったのだが、濃すぎて重すぎて、当時の私は読めなかった。漫画と映像との違いもあると思うが、こちらもだいぶ大人になったこともあり、今回は楽々鑑賞。いや、映像は自分でページをめくらなくていい分、楽かも、なんて変なことを思いつつ観た。
今さら私がここでくどくどと語る必要もない有名な作品、あのときの遠い未来にもはやたどり着きつつある今・・・あまりにも予言的で、いや、現実をピタリと予測していてビックリ。
30年も前の作品とは思えない映像のクオリティに感心、一方で妙にポップな音楽もなかなか。面白かった。
AKIRA
大友克洋
日本、1988, 124’
Cose che verranno
http://www.torinofilmfest.org/film/25093/akira.html
もう1つは、ドキュメンタリー部門から。
1930年代のイラン。BP(British Petroil)社の記録保管庫に眠る膨大な写真や資料から、当時、石油発掘のために大英帝国から現地に派遣された地質学者や考古学者らの調査、研究、そして生活を検証、再現した。Miranda Pennell監督自身、若きファミリーの小さな娘としてそこに存在している。
30年代の欧州、そしてイランの石油プラント、と、諸々個人的にも興味のある内容であったこともあるが、淡々と冷静に、だがじんわりとしっかりと、帝国主義や人間のエゴについて問いかける、そんな作品に引き込まれた。
いまそこにあるものをそのまま追う、それだけがドキュメンタリーではなく、史実を丁寧にたどる、こういう方法もあるのかと思った。これもまた、映画という手段の面白さだろう。
The Host
Miranda Pennell
UK, 2015, 60’
TFFDOC/INTERNAZIONALE.DOC
http://www.torinofilmfest.org/film/24078/the-host.html
29 nov 2015