鎌倉近代美術館、閉幕〜「鎌倉からはじまった。1951-2016」 |
この前行ったのはいつのことだったか。
帰国のたびになんとなく気になっていながら、ついつい後回しになっていた。いつも初詣には行っている鎌倉鶴岡八幡宮の境内の中にある近代美術館が閉館になると聞いて今度こそは逃すわけにいかなかった。
近現代美術館というと、大きな作品を想定した大きな建物が最近の主流だろうと思うが、この美術館は個人コレクションの美術館のような心地よいサイズ。そういえば、県立の美術館なのに、神社の境内にあるというのも不思議だ。日本で最初の公立近代美術館だったとは、恥ずかしながら初めて知った。1951年、そうか、戦後たった6年でできたのかと、その重みをあらためて感じる。
閉幕へ向けた企画展、最後の「Part 3: 1951-1965「鎌倉近代美術館」誕生」。
佐伯祐三や萬鉄五郎、というとその一時代前だから、おや?と思う。だが、そうした日本の近代の画家を、調査と研究を重視し小規模ながら充実した展覧会を行ってきた、と聞くとなるほど、と納得する。
閉館前最後の展覧会にあたるこの会では、そうしてこの美術館が紹介してきた画家らの作品の館所蔵品と、ハコとしての館の建築およびその歴史が並べて紹介されている。
創立60年なんて、イタリアならば美術館としても新しいほうなくらい。それが役目を終えて閉館する、というのはやはり一抹の寂しさを覚える。
館内、作品の撮影は禁止だが、建物の撮影は自由。もはや、とりたてて気にすることのなかった建物の一角、一壁をながめ、おつかれさま、と心の中でつぶやいてみる。
今後も葉山館と合わせて活用される別館では、工芸展が同時開催中。
「鎌倉からはじまった。1951-2016」
Part 3: 1951-1965「鎌倉近代美術館」誕生
神奈川県立近代美術館 鎌倉
http://www.moma.pref.kanagawa.jp
26 dic 2015
帰国していらしたのでしょうか?
おかえりなさい!
先日、NHK教育テレビでも特集していました。
定かではありませんが、老朽化と耐震基準に満たないためなのか
たった60年で取り壊される・・・というのはあまりに情けない。
ほんと無駄使い天国ニッポン。(オリンピック国立競技場問題も
恥ずかしい限り。)
コルビジェの弟子と言われる、坂倉準三の設計による
コルビジェ風の近代建築。青森県弘前市には同じくコルビジェから学んだ、前川國男が設計した近代建築があり、古いものはもう80年になりますが現役で使われています。
日本の気候風土に合わない材料で作られた建築は、耐久性に
問題が出て、公共建築でさえ50年ほどで建替えられます。
個人の木造住宅では30年〜40年ほどで寿命を迎えます。
現代の技術力があれば、補強してでも残せたと思いますが、
関係者の利害が取り壊す方向に向かったのでしょうね。
残念です。
はい、日本に帰ってきております。ありがとうございます。
仮にもこれだけの規模の公共の建物が、60年で取り壊されるのは、やはり残念ですね。60年前はともかくとして、これからはもういい加減、使い捨ての発想はやめていただきたいです。
ヴェネツィア・ビエンナーレ会場の日本館も、やはりコルビジェに師事した吉阪隆正氏による設計で1956年に建てられたものですが、数年前に修復工事を行って、今も現役ですね。ビエンナーレは美術館とはまた使い方も違うので比較できないかもしれませんが。
古いものばかりがいいとは思いませんが、日本はまだまだ建築分野での新品信仰が強いですね・・・。