アリアの夕べ〜カヴァニス館にて |
ヴェネツィアでまた1つ、すてきな場に出会った。
クエリーニ・スタンパーリア美術館などのあるサンタ・マリア・フォルモーザ広場(Campo Santa Maria Formosa)から、同名の細長い路地(Calle lunga S. Maria Formosa)をずっと歩いて突き当たりの橋を渡った、その前にあるカヴァニス館(Palazzo Cavagnis)。
ベルガモの職人一家の出身のアントニオ・カヴァニス(Antonio Cavagnis)が1710年に、建築家ドメニコ・ロッシ(Domenico Rossi)に依頼し建てた建物、現在は、Forestia Valdees di Venezia という文化センターになっている。
ヴェネツィアでは、ビエンナーレなどの機会に、こういう古いお屋敷や教会などが使われることも多く、ふだんは公開されていないそんな建物を見て回るのがビエンナーレの楽しみの1つでもあるのだが、ここは今までにも、来たことがない気がする。(注、極度の方向音痴&最近健忘症激しく、不確か・・・)
そのカヴァニス館、2階のサロンで先週土曜日に、アリアのコンサートがあり、案内をいただいた。
Arie e Duetti D’Opera
Maria Bogdanowicz, soprano
Eugenio Bogdanowicz, bass-baritono
Fusako Nakazawa, mezzosoprano
Asako Watanabe, pianoforte
J. Offenbach ‘I racconti di Hoffman’ Barcarolle
W.A. Mozart ‘Le Nozze di Figaro’ Deh vieni non tardar
W.A. Mozart ‘Le Nozze di Figaro’ Via resti servita, madama brillante
G. Verdi ‘Attila’, Uldino! Uodin!
G. Verdi ‘Il Trovatore’ Condotta ell’era in ceppi
G. Puccini ‘Tosca’ Vissi d’arte
G. Bizet ‘Carmen’ Habanera
G. Verdi ‘Aida’ Ciel! Mio Padre
W.A. Mozart ‘Così Fan Tutte’ Soave sia il vento
超有名なアリア含め、これだけの演目を休みなしに一気に!
伸びやかで迫力のある、美しい歌声と、ときに軽快に歌の周りを舞い、ときに重厚に歌にたたみかけるピアノの伴奏と、ちょっと久々に「クラシック」を楽しんだ。
実はここでは、毎週木曜日と土曜日の18時から、こうした演奏会が開かれているらしい。すべて入場無料、ふだんは音楽科の学生さんの演奏などが中心のようだが、この環境で、ふらりと気軽に音楽が楽しめるのはすばらしい。
あっと思ったのが、この建物には簡易宿泊施設があり、(中に教会もあるにもかかわらず)「宗教、人種、性別、年齢」を問わず利用可能、とある。シングル、ダブルからファミリー用までいくつかのタイプがあるらしい。これだけ観光客があふれ、大小新旧のホテルが乱立する中でなお、こういう、知る人ぞ知る宿泊施設があったりするのがヴェネツィア、だと思う。
Centro Culturale Protestante
Palazzo Cavagnis
Salone Busetto
http://www.foresteriavenezia.it/centroculturale.php
22 feb 2016
ヴェネツィアに住んでいた頃、よくふらふらと散歩していた界隈だったというのに全然この館のことを知らず、ただ当日館の前に着いて、そういえば昔誰かがこのあたりに簡易宿泊施設があるって言ってたところだ!と気が付きました。たくさんの子供と年配の方が泊まっていたようで次の日の朝ごはんの時はとてもにぎやかでした。
伺ったときには、演奏会の関係者らしき方と観客以外誰も見かけなくて、ちょっと薄暗い感じだったのに、朝ごはんが賑やかだったとは!それも楽しそうですね。