第73回 ヴェネツィア映画祭・2〜常連たち |
映画祭2日めの注目の人は、なんといってもマイケル・ファスベンダー&アリシア・ヴィキャンデル。今回上映されたこの映画の撮影中に恋に落ち、公私ともにカップルとして登場、と地味め映画祭を多少盛り上げるのに一役かっている。
ちなみに、ファスベンダーは5年前、このヴェネツィア映画祭に2作品で参加、”Shame”で主演男優賞を受賞。ヴィキャンデルは昨年、”The Danish Girl”で登場、こちらは主演ではないので受賞はなしだったが、その後、アカデミーで助演女優賞などを受賞している。そういえば、どちらも印象的な映画であり、役柄だった。
(当時の紹介はこちら:
Shame http://fumiemve.exblog.jp/13628308/
The Danish Girl http://fumieve2.exblog.jp/24763672/)
第一次大戦からの帰還兵トム(ファスベンダー)は、人との付き合いを逃れるかのように、離島の灯台守の任務を引き受ける。口数少なく、表情も固いトムに一目惚れするイザベル(ヴィキャンデル)。島でたった2人きりの生活も、ラヴラヴな2人にはパラダイス。やがてイザベルは、待望の子供を授かるのだが・・・。
子どもを持つ人、望みながらかなえられなかった人、無念にも失った人・・・すべての人の心にずしりと重く、苦い思いが残る。運命が、そして人が人を不幸にする。
脅威でもある自然の風景が圧倒的。広い海原、そして印象的なのはその風。この地域では1年中暴風が吹き荒れているらしい。
キャストも映像も申し分ない、なのに、なにか物足りない、納得しきれないのはなぜだろう・・・?
The Light Between Oceans
監督 Derek Cianfrance - 米、オーストラリア、NZ、133’
出演 Michael Fassbender, Alicia Vikander, Rachel Weisz, Emily Barclay
金獅子賞はもちろん、2008年には審査員長も務め、常連というか大巨匠中の巨匠、ヴィム・ヴェンダース監督、いまさらコンペもないだろう・・・と思うのだが。
眺めのよい、いかにも心地よさそうな庭で、会話する男女。テーマは「男と女の違い」。いや、会話というよりは、男が質問し、女がそれに答えているのだが、微妙に噛み合わないというか・・・男の質問に女は、ズバリ答えない。だからまどろっこしい。いや、それこそが男と女の違いということなのか。男は、女に対して愛情を持っているようだ。・・・女のほうは、どうだろう?
動きがほとんどなく、そうして対話だけが続いていくのは、映画というよりもまるで舞台のよう。ところがそれが、3Dというのに頭を抱えてしまう。なぜこれをわざわざ3Dで?映像としては、特にスペクタルでもないのに???
・・・そのココロは、「観客の皆さんすべてが、「男と女の違い」というテーマについて考え、対話に参加するような気分を味わって欲しかった。これはどうしても3Dで撮らなくてはならなかった」。
うーむ、いろいろ深い哲学的な映画、単純な凡人は途中、ちょっとウトウトしてしまったことをこっそり白状しておこう・・・。
(2008年、ヴェンダース審査員長のときの様子はこちら http://fumiemve.exblog.jp/7474043/)
Les beaux jours d’Aranjuez (3D)
監督 Wim Wenders - 仏、独、97’
出演 Reda Kateb, Sophie Semin, Jens Harzer, Nick Cave
73. Mostra Internazionale d'Arte Cinematografica
31 ago - 10 set 2016
http://www.labiennale.org/it/cinema/73-mostra
2 set 2016