ヴェネツィアに新たな絶景・必撮ポイント、誕生 |
階段を上がって外へ出て、思わず息を飲んだ。
いつも見慣れた姿よりも距離がある分、川のように見える大運河の少し上、やわらかな雲の間で日がとろとろに溶けている。そしてまたたく間に、あたたかい金色へと変わっていった。
テラスからの眺めが最高!と、聞いていた。だが、これほどだったとは。
運河沿った形に横長のテラス、だが実際は周りに遮るものがほとんどなく、視界360度。
レンガ色の瓦屋根の向こうに見えるのは、大きな教会や鐘楼。眼下には大運河が蛇行し、ラグーナの向こうには、ムラーノ島の灯台、はるか遠くブラーノ島の鐘楼まで見渡せる。はかない雲がたなびく、透明な青空。
ヴェネツィアの街のど真ん中、リアルト橋のたもとにドイツ商人らが拠点を構えたのは13世紀に遡る。ドイツ人商館(Fondaco dei tedeschi)と呼ばれたその建物はしかし、1505年に火災に遭い、建て直されることになる。現在の建物は、建築家ジローラモ・テデスコにより1505-08年に建てられた。
ルネサンスらしい正円と直線で構成されたファサード、壁も現在は白一色だが、当時は、ヴェネツィアを代表する画家たちが壁一面をフレスコ画で覆った。現在はその姿を全く止めていないが、ジョルジョーネの描いた「裸婦像」が現在はすぐ近くのグリマーニ美術館に、また、「公正のアレゴリー」などを描いたティツィアーノの下絵が、カ・ドーロ美術館に保存、展示されている。
輸出入のための荷の上げ下ろしをし、倉庫や事務所を備え、また遠方から船で到着した商人らが寝泊まりもできる施設でもあった「商館」だが、ヴェネツィア共和国がナポレオンに屈した1797年にその役目を終える。
やがて20世紀に入り長らくヴェネツィアの中央郵便局として利用されていたが、郵便局移転後、2008年にベネトン・グループが購入。その後、グッチなどを有するファッション・グループLvmhに譲渡され、この10月1日、デパートとしてオープンした。
設計は、国際的に活躍する建築家Rem Koolhaas、内装は、世界中の美術館を手がけたというJamie Fobert。
・・・が、高いとこ好きなおのぼりさんは、とりあえず噂のテラスへ。
人数制限があるため(私はその場で60人と聞いたが、80人とか20人とかいろいろな説あり)、外に出る階段の下で少し待ったが、これは多少なら待つ価値あり!!!
テラス、とはいってもカフェレストランだのにするでもなく、ヴェネツィア伝統の、屋根の上にちょこっと簡素な枠をのっけただけの「アルターナ」風。さすがに木製ではないけれど、デパート内は豪華仕様なだけに、その開放感にほっとする。
同じくおのぼりしてきたのは、ほとんどが地元ヴェネツィアの人々。あれがサン・マルコ、あれはフランチェスコ・デッラ・ヴィーニャ・・・と1つ1つ鐘楼を確認する人、スマホでパノラマ写真を撮る人・・・歴史的建造物がこうして、ホテルでもお役所でも、博物館でもなく、地元の市民も気軽に楽しめる場になったのはなかなか悪くない。しかも、無料。
・・・それにしても、ヴェネツィア、やっぱり美しい・・・。
T Fondaco dei tedeschi by DFS
12 ott 2016
次回ヴェネツィア訪問時には、絶対に行かなくては!
これはぜひ行かなくては!
先日、ベネツィア・リアルト界隈をグーグルマップで見ていたら、
見慣れない一角が・・・。中にはブランドショップの名前が・・・。
っと思ったら、やはりこんなものが出来たのですね。
私もブランドはどうでも良くて、屋上からの絶景を楽しみたいです!
・・・あっでも、屋上テラスに直行せず、できれば、途中のブランドショップも気になるフリをしつつ・・・。
16世紀の歴史遺産、コールハース設計の建物も楽しんでいただければと思います。