ヴェネツィアのガラスのかけら、小田原城にて |
1992-93年、東京都八王子城址から、16世紀のヴェネツィアのガラスの破片が見つかった。透明なガラスに乳白色のガラスを巻いて作るレース模様のガラス、フィリグラーナと呼ばれるもので、もとは1つの壺だったものと考えられている。
フィリグラーナとしては日本で発見されている最古の例で、ふだんは八王子郷土資料館にあるのだが、現在、小田原城の天守閣で開催中の特別展「小田原北条氏の絆~小田原城とその支城~」に展示されている。
石膏で全体の形を再現したものと、お隣に並んでいるのは、八王子市教育委員会の依頼によりガラス作家、小西潮さんが製作した再現品。
http://fumieve2.exblog.jp/24798322/
2年前にヴェネツィアの展覧会で小西さんの作品のみを見たときに、たとえばヴェネツィアのガラス博物館などに残る同時代のフィリグラーナと比べて、その模様がずいぶん細かいなと思ったのだが、今回、発掘された「本物」とこうして並べてみて、なるほど「再現」だけあって、確かにもともとがこの細かさだったのだとわかった。北条氏照が所有していた壺は、仕事の非常に細かい、当時から大変貴重であったヴェネツィアのガラスの中でも、とくに高級品であったことが考えられる。
1960年代に復元されている小田原城天守閣は、現在は博物館となっていて、小田原城の歴史を、江戸時代、戦国時代と時代を遡るような形で学べるようになっている。特別展は最上階で、八王子のほか、埼玉県寄居町の鉢形城、箕輪城など、小田原北条氏の支城で出土した資料が展示されているが、染付に赤絵付け、備前、天目と、陶磁器の器類の種類の多いことに感心する。また、漆塗りの椀も別の場所から全く同じ鶴亀模様のものが出ていたりと、なかなか興味深い。
こちらはかまぼこ用のヘラ、さすが小田原!
小田原北条氏の絆~小田原城とその支城~
2017年10月1日~12月24日
小田原城天守閣
10 nov 2017