イタリアの美術館 |

フィレンツェのウフィッツィ美術館やローマのコロッセオ、あるいはポンペイ遺跡など、イタリアにいらして、訪れたことのある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。これらはいずれも、イタリアの国立の美術館・博物館施設であり、文化省の管轄下にあります。イタリアの博物館施設は、いわゆるハコモノに限らず、この通り遺跡群やモニュメントなどを含んでおり、国全体で、500カ所以上にのぼります(2026年3月時点で、文化省のサイトが開けなくなっており、正確な数は不明ですが・・・)。
さて、観光でイタリアを訪れる場合、前述の3カ所の入場券は、一般正規料金でそれぞれ、25、18ユーロ、22ユーロ。円安の現在、1ユーロを185円として換算すると、それぞれ、4635、3330、4070円、と決して安いものとは言えません。その昔、イタリアの施設はタダかもしくは数百円と格安だった覚えが朧げながら残る世代の者としては、まさに隔世の感があります。
ところがこの入場料、実は多くのケースで無料になります。具体的には、
・18歳以下の全ての子供たち。
・EU圏市民に関しては、障がいのある方やその同伴者、公認ツーリストガイド及び必要に応じた同行通訳者、公私立の学校のグループ及びその同行教員たち。
・イタリア文化省直轄の修復専門学校の学生たち。
・EU圏内における美術大学学生及び教員、また、EU圏内における大学にて、建築、文化財保護、文系・理系に関わらず、考古学または美術史及びこれらに準ずる学科を専攻する学生や研究者及び教員。
・イタリアの高校の美術史教員、及び文化省職員。
・ICOM(International council of museums)メンバー。
・公式名簿登録のあるジャーナリスト。
など。つまり、必要性の高い人々に対して、広く開かれていると言えます。それぞれ、もちろん証明書等の提示は求められますが、特別な手続きは必要ありません。オンラインで予約する場合にも、該当するカテゴリーを選び、0ユーロのチケットを購入することになります。最も、この場合には、数ユーロの手数料がかかる場合がほとんどですが。
もちろん、上記に該当しない場合も、学校や大学における関連分野の研究を行う学生さんなど、必要に応じて無料入場を請求することができます。
一般の観光客や市民にとって大きいのは、毎月第1日曜日の無料デイでしょう。全ての国立の博物館施設が、国籍も年齢も職業も関係なく、あらゆる人に無料で開放されます。超人気スポットは当日の大行列が覚悟ですが、案外、穴場もあったりします。また、場所によっては0ユーロで予約できるところもあるようです。
なお、この「美術館無料デイ」は、フランスでも同様の仕組みがあるようです。おそらく、それ以外にもイタリアと同じような規定があるのではないかと思います。
ここまでは、500を超えるイタリアの国立の博物館施設のお話。文化財保護法に明確に定められた決まりであり、ブレはありません。
そして、国立以外の美術館でも、さまざまな工夫があります。例えばヴェネツィアでは、パラッツォ・ドゥカーレや、ムラーノ島のガラス博物館など、市の博物館群に関しては、ヴェネツィア在住者、出身者、及び市内に通勤・通学する人については常に無料です。企画展などについては別料金ですが、それも割引となることがほとんどです。ヴェネツィア大学で美術史を勉強していたときには、国立も市立も見放題。授業で何か学んだらすぐ見に行けるのは、大変ありがたいことでした。
カピトリー二美術館をはじめとするローマ市の博物館群は、無料でこそありませんが、市民や在住者は、年間5ユーロの「パス」に登録すると、回数、場所問わずいつでも入館ができるようになります。一般入場券が5ユーロ以上するところもあり、登録しない手はありません。また、ローマでは、国立博物館施設に合わせ、やはり毎月第1日曜日が無料になります。
ローマ市内にありつつも、別の国の国立美術館であるバチカン美術館は、毎月最終日曜日が無料デイとなります。バチカン美術館の場合は、他の日曜日は閉館日であること、また無料デイは14時でクローズとなること、宗教行事等により中止になる場合のあることなども頭の片隅に置いておく必要があります。
国公立の施設に関しては、イタリアでも独立法人制度に移行したり、主要とされる(つまり観光客にも人気の高い)施設に関しては、館長を公募にし、より稼げる施設が求められるなど、現代化の波を避けられずにいます。また、国公立問わず、イタリアの美術館、博物館では、歴史的建造物を利用している施設も多いため、アクセシビリティなどの課題も多々あります。それでも、この無料の大原則部分については変わらずにいてほしいと切に願っています。
31 mar 2026









