ヒヤヒヤ、どきどきのガラス博物館 |
リニューアル大オープンした、ムラーノのガラス博物館。
2階に始まり1階に戻って、展示はそこで終わりかと思ったら、お手洗いとショップの奥の方に、さらに別の部屋があるというので、行ってみて驚いた。
なぜか「ビーズの間」と名付けられた展示室、決して広くない空間の中に、うねるようにつくらえたテーブルが作られ、その上に「歴史的」ガラスが並べられている。古代からルネサンス、バロック、ロココ、そして現代へと、時代順の展示は、2階のおさらいにもなっているどころか、「10分でわかる!ムラーノ・ガラスの歴史」といった趣き。コンセプトとしては悪くないと思うのだが、問題はそれらが全て、むきだしで並べられていること。
同じ市立博物館群で、1年半ほど前にやはりリニューアル・オープンしたモチェニーゴ衣装博物館も、いろいろなものがむきだしに展示されていて驚いたが、ここはそれ以上に、なにしろ狭い空間の狭いところに、かなり繊細なものから小さなもの、背の高いものが置かれている。おまけに、なぜか床が見事にツルツル・・・。
百歩譲って、もちろん見た目にはすばらしいかもしれない、だが、貴重なもの、歴史的な作品を保護し次世代に伝えることもまた博物館の重要な役割だとすると、これは一体どうなのだろう??? 最終的に「売る」ことが目的のギャラリーとは違う。
確かに、現代美術の場合は、壊れやすいもの、繊細なものもケースに入れずに展示するのがほぼ当たり前、その繊細さに(空気を介してとはいえ)触れるのも作品の一部といえるだろう。ガラスだって、ケースの中に入っているより、直に見たほうがいいに決まっている。だが、何百年ものときを経てきたガラスに、これはあまりにも酷なのではないか?
危険極まりない上に、これでは逆にそれぞれの価値を矮小していることにならないだろうか?
なんでも「モダン」がいいわけじゃない。過去の遺産の保護・保存に厳しかったはずのイタリアで、なんだか急に近代化しようとして迷走しているのでは?
がさつな自分がうっかりどこかに触れたりしないか、カメラを持って作品に近づく他のビジターが後ろの作品を倒したりしないか、いるだけでヒヤヒヤで、見て楽しむ以上に強烈に肩が凝った。
そのさらに奥は、企画展会場となっていて、ルチアーノ・ヴィストージ(Lucinano VIstosi)という作家の彫刻作品が展示されていた。ここはまあ、むきだしでもとくに違和感はない。(やや危なっかしいのは同じだが)
「ビーズの間」については、何事も起きないうちに、早々に対策を取られることを願うばかりだ。
ガラス博物館
ヴェネツィア、ムラーノ島
Museo del Vetro
Murano, Venezia
http://museovetro.visitmuve.it/
http://museovetro.visitmuve.it/it/mostre/mostre-in-corso/mostra-vistosi/2015/01/6654/luciano-vistosi-scultore/
23 feb 2015
ローマで石材遺跡がごろごろしているのと、またちょっと違うと思うのですよね。難しいところです。