ウディネ、第18回ファーイースト映画祭、開催中! |
毎年、日本の映画をたくさん観るチャンスとして楽しみにしているウディネのファーイースト(極東)映画祭。映画自体もちろんなのだが、この映画祭の楽しみの1つに、関係者によるトークショーがある。40人入るか入らないかの小さなスペース、予約もいらなければ行列することもなく、さらにいえば無料で映画のチケットさえ不要。上映される映画の関係者、監督や俳優、プロデューサーらによる生トークが、アットホームな会場で行われる。
映画祭もヴェネツィアなどと比べれば規模も予算も全く違うし、基本的には若い、売り出し中な監督さんや俳優さんが多かったのだが、この数年、ビッグなゲストが増えてきている。昨年、作曲家の久石譲氏と、アジア映画といって知らない人はいないであろうジャッキー・チェンが登場したときには、ほんとに手作りの小規模な映画祭ながら、よくぞここまできたな、と、映画祭の関係者でもあるまいになんだか感慨深かった。
今年のファーイーストもまた、昨年に劣らず豪華出演。
26日には「ヒメノア〜ル」(5月28日公開)主演の森田剛氏が、吉田恵輔監督と、そして「高台家の人々」(同6月4日)の斎藤工氏がプロデューサーの西原恵さんとともに登場した。
どちらもなんと、ワールド・プレミアム! 日本も含めこれから公開なので、詳細については控えるが、「ヒメアノ〜ル」は、一見どこにでもありがちな、フツーの生活と、理解を超えた壮絶な非日常性の交錯を描いた作品。あのV6の森田剛さんのまさかの役にビックリ。演じるモリタ役、トークでその難しかった点について聞かれ、「フツーの人に見えるように演じるのが難しかった。」と答えていたが、いやいや私はずうっと、「ああ、こういう人っているなー」って思いながらみていた。やがて異常性を示し始める最後の最後まで、その迫真の演技にまったく違和感はなく、極めてリアル。嘘みたいにはまり役だった。
ヒメアノ〜ル
Hime-Anole
Yoshida Keisuke, Japan, 2016 99’
http://www.himeanole-movie.com
一方「高台家の人々」は、これはもう完全に、ぽやぽやのファンタジー。フツーのOLだった木絵の前にある日、白馬の王子さまが現れ、空想癖のある彼女はその彼との結婚を夢見る・・・とこれだけ書くと、なんだかなーのどうにもならない、お話。
その王子を演じる斎藤工さんは、これまで、殺すか殺されるか、または不倫の役しかやったことがない、という。そして最近演じているのは、宇宙人の役ばかり・・・(笑)。王子役はだからまったく初めてだというのだが、そこはさすが、実力派の俳優さん!スクリーンの中では、すっかりエリート王子としてこちら(いや、正確には木絵役の綾瀬はるかさん)に微笑みかけている。そしてなぜか、トークにはバリっと蝶ネクタイで登場。
「今一番、一緒に仕事をしてみたい監督は?」という質問に「イタリア人監督なら、パオロ・ソレンティーノ」とさらり。それでいて、日本なら、自分も監督をやっているから、エンドロールを全部自分で埋めるような作品をやってみたい。スマホで、予算ゼロで。自分の部屋で。と言いながらそんな「新作」の構想をさくっと話してみたり。
トーク終了後には、サインや写真の求めにも笑顔で応じて、その場の女子群をすっかり魅了して去っていった。
肝心の映画のほうは、なんだかなーのはずが、斎藤&綾瀬のビッグ・コンビに終始笑わされ、みていてこちらも楽しくハッピーになるすてきな作品。白馬の王子を待つ夢見る女子にも、そうでない女子にも、オススメ!
高台家の人々
The Kodai Family
Hijikata Masato, Japan, 2016 115’
http://koudaike-movie.jp
27 aprile 2016