第18回極東映画祭・2〜マンガ万歳、箱根万歳! |
高校生で少年ジャンプ連載なんて、そんなの甘いよ、それじゃあもう、おばさんやってらんなよ、いやおばさんどころか、大学生だって、20代前半でまだ漫画家目指して頑張っている若者だって、それじゃ浮かばれないよ・・・。日本一、いや週刊漫画雑誌としては世界一?の販売部数を誇る「少年ジャンプ」を舞台に、そこに連載を持つことを夢見る高校生二人組。そう、映画なんだから、マンガなんだから、そううるさいことは言わず、流れを楽しめばいい。
部活でスポーツに打ち込むでもなく、といってお勉強がとくにできるわけでもなく。大きな挫折を味わうこともなく、フツーに高校生活を送っていた男子二人が、ふとしたことをきっかけに漫画家を目指す。一人は、売れっ子漫画家だった叔父の背中を見て育った、だからある意味、すでに中に何かを持っていた。いつも耳にヘッドホンをあてたもう一人は、アイディアたっぷりの文系くん。それまで、特別仲がよかったわけではない。その二人がタッグを組む。そう、やるなら少年ジャンプしか、ない。
動き始めてからのスピードがすごい。書いて描いて、書いて描いて、そうして動き始めてからの彼ら、もうめっちゃカッコイイ。劇中で描いているのはマンガで、ストーリーもマンガな展開。実写だがときにアニメーションのような、ほとんど超現実なテンポで映像が流れていく。
自分との戦い?いや、そんなきれいごとじゃない。マンガ家だってやっぱり、食うか食われるかの熾烈な競争なのだ。読者に支持されればよし、そうでなければ、待っているのは非情な「打ち切り」。週刊だから締め切りもすぐにやってくる。そのプレッシャーに打ち勝つ力と、体力を持つものだけが生き残る世界。
翌日のトークショーで大根仁監督は、「マンガというものがどういう風に作られているかは案外知られていない。どうやって作るのか、またそのあとも熾烈な戦いがあることを表現したくてこの映画を作った」と説明。そう、確かに一種のメイキングものではあるのだけど、単なる裏側見せます、なドキュメンタリー調ではなく、これはこれで完全に、一つの作品になってる。
いやほんと、ストーリーも映像も、マンガっぽいな、と思って見ていた。が、見終わって、その余韻というか余波がじわじわと、きた。いやこれってなんだか、すごい映画だった!そう、映画としてとってもカッコイイ。
マンガ好きなイタリアのみなさんにも、もっともっと見て欲しい。マンガの裏側と、全く新しいタイプの映画と、1つで少なくとも2倍楽しめるのは間違いなし!!!
バクマン。
Bakuman
One Hitoshi, Japan, 2015, 119’
http://bakuman-movie.com
ロマンスカー・・・!なんとも甘酸っぱい響き、まだあったんだなーなんて。そして箱根!!!
神奈川県生まれ・育ちの私にとって、箱根は「庭」とまでは言わないまでも、小さい頃から、家族や親戚一同でよく出かけた場所。ひょっとすると、幼少〜中学生くらいまでの期間で、もっとも数多く行った場所かもしれない。もっとも近すぎて、ロマンスカーには逆に、ほとんど乗っていないのだけど。
大島優子扮する、鉢子にはところが、家族での箱根旅行はほろ苦い思い出。そんな箱根に、ロマンスカーの車内販売員として毎日、電車で往復している。もちろん普段は、降りて観光することなしに。
上映の翌日、トークに登場したタナダユキ監督は「日本ではイケメンはちやほやされるから・・・ちやほやされている人はつまらない人が多い」とバッサリ。そんなタナダ監督の惚れ込んだ大倉孝二さん(失礼!)、いかにもちょっと怪しい(でもあんまり大物でない感じの)男、大島優子に「おっさん」呼ばわりされているのだがこれがもうなんともいい味をだしている。
なつかし〜〜〜い箱根の風景に、個人的に追加点。
ロマンス
Round Trip Heart
Tanada Yuki, Japan 2015, 97’
http://movie-romance.com
27 apr 2016