第73回 ヴェネツィア映画祭・15〜「七人の侍」と「ざ・鬼太鼓座」 |
今年で第4回目となるクラシック部門は、過去の作品で修復されたものを上映。日本からは、黒澤明監督の「七人の侍」と、加藤泰監督の「ざ・鬼太鼓座」。前者は1952年にこのヴェネツィア映画祭で銀獅子賞をとっており、映画界では知らぬ人はいないと思われる大作、後者は任侠映画の巨匠として知られる加藤監督により1981年に完成された作品ながら、これまで一般に上映される機会のなかったという幻の作品で、なんと今回、ワールド・プレミアム。
「七人の侍」も、知ってるつもりのようで、こうしてきちんとスクリーンで最初から最後まで見るのは、初めて。アクションにあまり興味がないので、207分というのはさすがにちょっと長く感じたが、それでも、無塁のサムライたちのカッコよさやカッコ悪さ、刀さばぎの美しさ、そして戦の場面の激しさとは裏腹に、控えめで抑えられたジェスチャーや視線の中に現れる人々の機微・・・など、この映画が多くの人を魅了し、とくにたくさんの映画人たちに影響を与えたのは、わかるような気がした。
「ざ・鬼太鼓座」は、佐渡を中心に活躍する同名の和太鼓パフォーマンス団を追ったドキュメンタリー。ところが当時、同座を率いていた田耕氏と、制作側との思惑の違いにより、一般に公開されることないままにお蔵入りとなってしまったらしい。ドキュメンタリー映画として、また当時の同座の活動を知り、彼らの演奏を映像を通じて楽しむことができるよう、これから公開の機会が増えるといいと思う。
七人の侍 Shichinin no samurai (I sette samurai, 1954)
監督 黒澤明(Akira Kurosawa) - 日本、207’
Toshirô Mifune, Takashi Shimura, Keiko Tsushima
ざ・鬼太鼓座 The Ondekoza (1981)
監督 加藤泰(Kato Tai) - 日本、 107’
(documentario)
73. Mostra Internazionale d'Arte Cinematografica
31 ago - 10 set 2016
http://www.labiennale.org/it/cinema/73-mostra
10 set 2016