ベッリーニ最後の最高傑作、サン・ザッカリア教会 |

「ヴェネツィア中の教会の中で、いちばんたくさん写真を撮られている絵だよ。」
教会関係者が誇らしげに言うのも、実際はほかの多くの教会で撮影禁止であることを差っ引いても、決して過言ではないだろうと思う。
サンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ聖堂の「ヴィンチェンツォ・フェッラーリの祭壇画」が、ジョヴァンニ・ベッリーニ初期の傑作であるとすると、こちらは間違いなく、最晩年の傑作。

サン・マルコ広場から東へ向かい、観光っぽいお店やレストランの並ぶごちゃごちゃした路地を行くと、ふと、抜ける広場がある。その正面にすくっと建つサン・ザッカリア教会、スクオラ・グランデ・ディ・サン・マルコとも似た、ヴェネツィア・ルネサンス様式のファサードは、16世紀の建築家マウロ・コドゥッシ設計による。
中に入ると、外観のすっきりなイメージとは裏腹に、壁全面を覆う絵のために、やや重苦しく、暗い。この中に埋まるように、このベッリーニの祭壇画がある。(目の前に置いてあるお賽銭箱にコインを入れると、祭壇画に照明がつくので、そうして少し浮き立たせてみるとよい)

白大理石の円柱に縁取られ、璧龕の中央の玉座に聖母子が腰かけているように見えるが、ここはすべて平面の上に描かれた騙し絵。足元には弦楽器を奏でる天使、そして両脇に聖人たち(向かって左から、ピエトロ、カテリーナ、ルチーア、ジローラモ)。
きついくらいの線できっちりと輪郭を引いた、表情も険しく人の肉体も衣類の襞も、険しくゴツゴツしていた「フェッラーリの祭壇画」とは全く異なり、ここでは輪郭を引かずに、体も衣類も柔らかく優しく、光の中に色が溶け込むように描かれている。1505年の作品、ベッリーニという当時としては長い現役人生を送った画家の約40年の間に、彼自身の中で絵画がこれだけ変化した。どこを取っても優美で繊細で、全体は完璧な調和(ハーモニー)に包まれている。ヴェネツィア派美術の最初の頂点がここにある。

この間に、祭壇画という存在そのものも大きな変化を経た。
聖人や聖書の場面を、1つ1つ別のパネルに描き、彫刻でいっぱいの装飾性の高い額縁でそれらをつなぎ、1つの大きな祭壇画としたゴシック時代の「多翼祭壇画」から、1枚の大きな絵の中で、時代も場所も異なる聖人らが一同に集うスタイルへと変わった。
現在はアッカデミア美術館に保存、展示されている「聖ジョッべの祭壇画」はこれより20年以上前に描いたものだが、すでにこのスタイルをとっている。「聖ザッカリア」では、明らかに光と色の調和が追求されているのと、両脇の騙し絵の柱の外側にあえて外の風景を描いているのも特徴。
実はこの聖ザッカリア教会には、ほかにもみるべきものがいくつか、とくに素晴らしい多翼祭壇がもあるのだが、今回はベッリーニに集中することにして、とりあえずここまで。
www.bellini500.org

サン・ザッカリア教会
Chiesa di San Zaccaria
25 ott 2016
来月、1年ぶりにヴェネツィアへ行きます。
・・・と行っても滞在がほぼ2日で、ビエンナーレ建築展を
見たら終わってしまいます。(そのあとウィーンへ)
でもこちらのブログで、この教会や美味しいピッツアのお店や
リアルトのデパートなど、行きたい所が満載で助かります。
ビエンナーレの展示を早めに見て、空き時間に紹介されている
お店等行ってみるつもりです。
いつもありがとうございます!


