気になる気になる・・・武田律子 版画展 |
真っ赤な地の上に浮き上がるシルバーのチューブ。
そう、磨き上げられてつやつやに光るチューブにしか見えないそれは、こうして実際に近くで見ると紙の上に平面的に重ねられた色の集合でしかない。そのチューブたちが、あちらの画面、こちらの画面の中で思い思いの方向を向き、曲がり、空間を作り出している。
面白いのは、1つ1つの作品はそれぞれで個別に完結した、つまり閉じた空間であるはずなのに、こうして一緒に並べられることでリズムを生み、お互いに呼応し合い、動きが生まれる。まるで音楽を奏でているように。
思い切って会場のほぼ3分の2を使って展示した、14枚組のインスタレーションがすばらしい。武田さんのトレードマークである「チューブ」が見え隠れ・・・いや、見えるようでなかなか見えない。だから余計に、気になる。
比較的シンプルなチューブから「ひとひねり」したチューブまで、ここまでは言ってみれば、二次元と三次元のあいだの、2.3次元くらいの感じだったとすると、今回新たに現れた進化系(「旋」2017-29)は、2.8次元くらいといった感じ。チューブ同士が交差することで、そのあいだに空気をはらむようになる。
このあとどうなっていくのか、期待がふくらむという点において、すでに三次元を超えて四次元へと展開しているとも言える。
京橋のKEY Galleryにて、5日(土)まで。
武田律子 版画展
2017年7月31日(月)〜8月5日(土)
KEY Gallery
http://key-seika.main.jp
3 ago 2017