奈良で、朝ごはんをいただく |
宿から電車を乗り継いで小一時間かけてたどりついたそこで、シンプルで丁寧な、あったかい朝食をいただいた。
古都・奈良の名所旧跡のひしめくエリアからそう遠くない、ふつうの住宅街の中の一角。「竃」(Kamado)という名のダイニングには「朝こはん やってます」と看板が出ていた。
明るくモダンな、木を基調とした室内。おしゃれなカフェレストラン風のその中に、いっぷう変わっているのは、広々としたカウンターテーブルの向こうに堂々といる「かまど」。ほのかに蒸気があがって、薪の匂いに、ごはんが炊ける香りがほんのりと混じって、鼻腔をくすぐる。
朝ごはんのメニューは2種類。うんと迷った末に、シンプルな方にする。配膳はセルフサービス。柄違いの器に入ったたまごや、檜のトレーがうれしい。地元・奈良の素材を使ったおそうざいは、おだしの効いた家庭の味で、舌も胃もよろこんでいるのがわかる。
かまどで炊き上げたばかりのごはんももちろん、奈良のお米。これはお代わり自由で、はじめは白ごはんのまま、次はたまごかけ・・・と、何杯でもいけてしまいそう、なんと危険でしあわせなこと。
思えば、こんなにゆっくりと朝ごはんを食べたのはいったいいつぶりだろう?ふだん、朝食はパン派の私も、あ、たまにはこんなふうに白ごはんの朝ごはんいいな、なんて思ったり。
奈良食材を中心とした販売コーナーは、特産の葛粉をはじめとする伝統的なものから、柿入りパウンドケーキなどオリジナルなものまで、おみやげにもよさそうなものがあれこれあって目移りしてしまう。
名所めぐりも、名物グルメもいいけれど、ふつうのごはんをのんびり食べに行く旅もなかなかいい。
竃
奈良市井上町11 鹿の舟
http://www.kuruminoki.co.jp/shikanofune/kamado/
2 dic 2017