リド島の目の前、ラッザレット・ヴェッキオ島 |

イタリア語で隔離病棟や療養所を意味する、ラッザレット(Lazzaretto)と名のつく島が、ヴェネツィアには2つ存在する。
1つはラッザレット・ヌォーヴォ(Lazzaretto Nuovo)、つまり新ラッザレットは、ヴェネツィア本島の北側にあって、隔離病棟ではなく、中期滞在宿泊施設つきの検疫所であったことは、以前紹介した通り。
もう1つ、ラッザレット・ヴェッキオ(Lazzaretto Vecchio)、旧ラッザレットはヴェネツィア本島の南側、外海とラグーナとをわけるリド島の目と鼻の先にある。残っている建物が少なくいかにも「遺跡」な「ヌォーヴォ」と異なり、こちらは島ごとまるで要塞のように城壁に囲まれて、対岸のリド島に迫っている。
春から秋にかけて、こちらもガイドつき見学ツアーが行われていて、少し前に参加することができた。
この「ヴェッキオ」は文字通り「隔離病棟」だった。
ヴェネツィア共和国がペスト患者のためのこの療養所を設立したのは1423 年、世界ではじめてのことだったという。以降、ペストの流行にしたがい数度の増築工事が行われている。やがてヨーロッパがペストの脅威から解放されたのちには、「ヌォーヴォ」同様、検疫所として使われた。
一千年続いたヴェネツィア共和国がその幕を閉じ、検疫所の必要もなくなってから、19世紀中盤には軍事施設に転換する。このときに、15-16世紀やそれ以前の古い建物、教会や鐘楼は撤去された。
1965年にはその役目も終え、30年ほどヴェネツィア市の野犬保護施設となっていた。
21世紀に入ると、その歴史的、地理的価値が再認識される。文化省により2008年に、ヴェネツィア・ラグーナ国立考古学博物館として生まれ変わるべく工事が始まったが、予算不足のため中断を余儀なくされている。
2013年9月、ヴェネト州考古学監督局が、同島の管理およびガイドツアー運営をアルケオクラブ・ヴェネツィア(Archeoclub Venezia)に委託、すでに、ラッザレット・ヌォーヴォ島で同様の活動を行ってきた同クラブにより、現在はこうした見学が可能になった。
(以上、公式サイト内容を要約)


見学は(今のところ)不定期、ときどき、SNSなどで予告が出るのでその案内に従って。
現在は公共交通機関ではたどりつけないため、リド島の指定場所に集合し、一緒に船で島に向かう。
アルセナーレ(元・造船所)のビエンナーレ会場を思わせる、レンガ造りの縦長の建物は、かつて療養所として患者のベッドのがずらーっと並んでいたところらしい。




博物館として利用するため、整備された部分。一方で、工事のあと長らく放置されている間に、雨樋など盗難にあったものもあり、ふたたび老朽化が心配される。

「病院長」の家。




ルネサンス期の円柱の残る建物は、貴族や有力者などのための施設だったと思われる。こちらは眺めのよいテラスつき。
室内にフレスコの装飾が残っている!・・・と思いきや、これは、70年代に映画の撮影に使われたときに描いたもので、当時のものではないらしい。



今年も4月以降、見学ツアーが予定されている。

ラッザレット・ヴェッキオ島
L’Isola del Lazzaretto Vecchio
http://www.lazzarettovecchio.it/
19 mar 2018



