ヴェネツィアの最後の栄光?、アッカデミア美術館200周年展 |
古代彫刻に学び、徹底的に古典的で優美な彫像で新古典主義の筆頭彫刻家アントニオ・カノーヴァ。(1757ポッサーニョ-1822 ヴェネツィア)。「接吻」(ミラノ、ブレラ絵画館)のほか、数々の肖像画で名をなしたロマン主義の画家フランチェスコ・アイエツ(1791ヴェネツィア - 1882 ミラノ)。18世紀から19世紀にかけて、イタリアが近代化と統一へと向かう激動の時代を代表する2人の芸術家は、いずれもヴェネツィアに縁が深い。
そしてもう一人、この時代のヴェネツィアの美術界で欠かせない人物がいた。
レオポルド・チコニャーラ伯爵、当時のヴェネツィアの美術アカデミー(Accademia di Belle Arti)の学長。
1797年、ナポレオンへの無血開城でヴェネツィア共和国は約一千年の歴史に幕を閉じた。そうしてヴェネツィアに君臨したナポレオンはまず、ヴェネツィアの政体である総督(ドージェ)、議会などを解散、廃止するにとどまらず、やはり旧体制の象徴的な存在であった教会、修道院、そしてヴェネツィア独自の一種の自治組織であるスクオラを解体、所蔵していた美術品をごっそりと、パリへ送った。
やがてナポレオンが失脚、1815年のウィーン会議でヴェネツィアはミラノ含むロンバルディアとともにオーストリアへの委譲が決定されると、召し上げられていた美術品の一部がヴェネツィアへ返還される。
これを受け、現代へとつながるアッカデミア美術館の開館へと尽力したのが、この3名だった。
こうして、ヴェネツィアのアッカデミア美術館は、昨年2017年に創立200年を迎えた。その創世記をふりかえる企画展、紹介がすっかり遅くなってしまったが、残りあとわずか。貴重な素描などもさりげなく展示されているので、機会があればぜひ足を運んでほしい。
確かに彼らの活躍はヴェネツィアという都市にとって「最後の栄光」だったかもしれない。だが、その栄光を後世へと伝える重要な任務を果たしたのは間違いない。
カノーヴァ、アイエツ、チコニャーラ ヴェネツィア最後の栄光
Canova, Hayez, Cicognara. L’ultima gloria di Venezia
29 set 2017 - 2 apr 2018
Gallerie dell’Accademia, Venezia
http://www.mostrabicentenariogallerie.it/canova-hayez-cicognara/
20 mar 2018