「ふつう」が心地よい、レッジョ・エミリア |
北イタリアを東西に横断するポー川流域の平野地帯、ローマ時代に開かれたエミリア街道沿いの街レッジョ・エミリアは、同じく街道沿いのパルマ、モデナ、ピアチェンツァなどとともに、美しい中堅都市の1つ。
当てずっぽうに歩いていて気がついたのは、イタリアの街ならどこでも数多くある教会が、ここでは街並みに溶け込んでいるというのか、どーんと傑出していなくてほかの建物と同じ高さで並んでいるということ。もしかすると、ほかの建物をあとからぎりぎりこの高さまで建てたのかもしれないのだが。いずれにしても、その絶妙なバランスがこの街にいい意味での「ふつう」感を与えている。
ドゥオーモと、その鐘楼さえこんな感じ。
平野部の街は、自転車の街でもある。
・・・牛さんも見かけた。
3度に分けて紹介してきたように、博物館にはツワモノだらけで見応えたっぷり。(1、2、3)
そしてレッジョ・エミリアといえばなんといっても、お隣パルマとともに、パルミジャーノ・レッジャーノの産地でもある。お腹がすいたら、「ふつう」においしいものにも困らない。
そういえば先日、あるテレビ番組を見ていたら、イタリアの街の中で「人がいない」「人がいない」と紹介されていたけれど、イタリアの大都市や観光地は例外として、ふつうの生活が保たれている街では、人々の行動パターンがある程度限られていて、曜日や時間によって、街の中が賑わう時と、ほとんど人っ子ひとりいなくなるような時がはっきり分かれている。
ここももちろん、賑わっている時間もあるんですよ、と念のため書き添えておきたい。
通称、イタリア人もほとんどレッジョ・エミリアと呼んでいるし、駅の名前も ”Reggio Emilia” と表記されているが、行政的に正確にはレッジョ・ネッレミリア(Reggio nell’Emilia)という。また、鉄道駅でいうと、現在レッジョ・エミリアは、特急用の”Reggio Emilia AV”という駅ができているけれど、町外れの何にもないところに到着してしまう。著名なスペイン人建築家、ヴェネツィアのあの「憲法橋」も設計したサンティアゴ・カラトラバ氏設計の駅舎は、さすがにフォトジェニックなので通過するにはよいけれど、ふつうの観光で到着するにはかなり不便なので、注意を要する。
エミリア街道が今でも、街を貫く1本道として、ふつうに生きている。
25 apr 2018