モザイクの旅、まだまだローマ~ディオクレティアヌス浴場 |
ローマ・テルメニ駅の目と鼻の先に、18世紀にできたレプッブリカ(共和国)広場という大きな広場があるが、ここはかつて、巨大なテルメ(公衆浴場施設)の一部だった。
ヤマザキマリさんの「テルマエ・ロマエ」などでも紹介されている通り、古代ローマにおいて公共の大浴場というのは市民にとって大切な実用的娯楽施設であり、為政者にとっても権力の誇示と人気取りに重要な公共事業で、有名なのがカラカッラ浴場だろう。
ローマ市内にはいくつかのテルメがあったが、中でも最大の規模を誇ったのが、マクシミヌアス帝が、共同統治者ディオクレティアヌス帝の名に捧げた浴場だった。収容人数3000人、表面積13ヘクタールの巨大施設は、わずか8年の工事で、紀元後305-6年に完成したという。
が、ローマの栄光を誇る輝かしい施設も、帝国崩壊後の6世紀後半にはすでに、無用の長物と化してしまう。およそ1000年を経たのち、1561年に当時のローマ教皇ピウス4世が、跡地の一部に天使の聖母と殉教者に捧げる教会と、カルトゥジオ会(イタリア語ではチェルトーザ)の修道院の建造を命じる。テルメ施設内のフリギダリウム、すなわち冷水プール跡と、ナタティオ、屋外プール跡を利用した教会と、隣接する修道院は、ミケランジェロに設計を委ねられた。
現在は、ローマ国立博物館(Museo nazionale romano)の1つとして、すぐ近くのマッシモ館博物館などとともに公開されている。
かつてテルメの床を覆っていたはずのすばらしいモザイクもいくつか展示されており、モザイク・マニアとしてはやはり必見。室内の展示室は、まだ準備中(?)らしき部分もいくつかあり、今後さらに展示物が増えることが期待される。
ディオクレティアヌス浴場博物館
Terme Diocleziano
http://www.museonazionaleromano.beniculturali.it/it/163/terme-di-diocleziano
15 lug 2018