岩波少年文庫の中のイタリア、小たまねぎにはまる。 |

なにをいまさら、なのだが、岩波少年文庫がすごい。
岩波少年文庫といえば、昔はペーパーバック風の1枚表紙で、背表紙は白地にシンプルな黒ゴシック体、表紙はブルーやオレンジの無地にちょっと挿絵が入っていて、子供ながらにちょっと大人っぽく感じてドキドキしたのを覚えている。
現代の(といってもきっとずいぶん前からなのであろう)岩波少年文庫は、カラフルでそれぞれ個性的なカバーがついている。で、まさにいまさらなのだが、そのラインナップがあらためて見るとほんとにすばらしい。

世界各地のさまざまな名書が収められているこの文庫、あえてイタリアに絞ってみると、民話の収集に努め自ら童話も書いたイタロ・カルヴィーノ、北の山岳地帯出身で森の中の物語などで知られるディーノ・ブッツァーティ、そして以前も紹介したジャンニ・ロダーリ等、イタリアを代表する作家らの名がずらり。彼らは、大人向けの本格的な小説から児童書まで、幅広い作品で知られる。そしてまた、これまた当然といえば当然かもしれないが、翻訳者にも豪華な名前が並ぶ。
残念ながら私が子どもの頃にはどれも読んだことがなかったのだが、だから今さらながらここのとこちょっとはまっている。ウンベルト・エーコの「薔薇の名前」も読み返したいけれど、分厚くて字が細かく難解な本は、通勤電車で読むのは正直のところなかなか厳しい。ハンディサイズで字も少し大きめ、それでいて決してあなどれぬ、大人でも十分にぐいぐいと引き込むストーリーは、まさに通勤読書にちょうどいい。
最近とくにツボだったのは「チポリーノの冒険」。チポリーノは小たまねぎのこと、小たまねぎ頭がご愛嬌、弱きを助け強きをくじくチポリーノくんはちょっと昔ふうなのだが、そしてここはさすがロダーリ、単なるヒーロー物語ではなく、シュールでサプライズに満ちている。読んでいて、知らず知らずのうちに、目とアタマと肩がほぐれるような、そんな本だった。
みなさんも何かおひとつ、手にとってみてはいかが?

27 set 2018

台風が近づいてますね…。
大事にならないといいのですが…。
記事を拝見して、「薔薇の名前」が読み返したくなりました。
あの迷宮の描写が大好きで。
早速探してみます!
「薔薇の名前」、長雨で外出できないときに、じっくり読むにはいいですね。私も読み返そうかな・・・