それでもヴェネツィアは美しい。~被害状況と支援について② |
2019年11月12日、ヴェネツィアで歴代2位となる潮位187cmを記録した当日、火事などのため消防隊の出動は170件に上った。
不死鳥「火の鳥」の名を持ち、3度の火事を乗り越えて蘇ってきたフェニーチェ劇場もまた、今回は水に屈した。舞台や客席に影響はなかったものの一部で不具合が発生。24日開幕予定のオペラ「ドン・カルロ」のリハーサルは、近郊トレヴィーゾの劇場に場を移して行った。一方、23日までの全ての劇場におけるイベントは中止。この非常事態を受け、ヴェローナでは17日の「愛の妙薬」初演をフェニーチェのためのチャリティーに充てたほか、ミラノ市は、ミラノ・スカラ座で29日にフェニーチェ劇場支援のためのバレエ公演の追加を発表した。
大学をはじめとする学校、教育機関もそれぞれ大きな被害を受けた。
音楽院では、手稿譜を含む数多くの譜面や書籍が水をかぶり、救済作業に当たっていた学生らからSOSのメッセージが発信されていたが、これは文化監督局やボローニャ市などによりすぐに専門家が派遣されることが決定した。
また、日頃から学生たちの自習図書室として愛用されている、クエリー二・スタンパーリア図書館も多くの専門書などが浸水、学生ボランティアらが応急処置に励んでいる。同財団では支援を呼びかけている。その場合の振込先は、
名義 Fondazione Querini Stampalia
銀行名 Banca Nazionale del Lavoro Sede di Venezia
IBAN: IT 76 O 010 0502 0000 0000 0032 500
名目: Acqua alta_12 novembre 2019
同時に fondazione@querinistampalia.org 宛にメールを送信のこと。
またはこちらから、カードによる送金も可能。
いずれも詳細は、財団HPを参照のこと。
(トップの写真は、クエリー二財団のFBより拝借)
ヴェネツィアのシンボルのひとつでもあるゴンドラに関していえば、ゴンドラ本体からフォルコラ(櫂置き)の工房、装飾品を作る工房の全てで浸水の被害にあったばかりでなく、時間をかけて用意した貴重な材料が水に流されて失わkれるなどの大きな痛手を被っている。この職人協会への支援は以下の通り。
El felze(ゴンドラ製作、修復に関わる職人協会)
名義 Associazione EL FELZE
銀行名 Banco San Marco
IBAN IT90 P 05034 02070 000000100273
SWIFT BAPPIT21709
causale(名目): donazione per sostegno artigiani
同時に info@elfelze.it 宛にイタリア語または英文でメールすると、後日領収書を発行。
サイト www.elfelze.it
メール info@elfelze.it
ヴェネツィア本島の被害があまりにも大きくて、ほかの島については報道も後手後手になっているが、ムラーノ島のガラス工房や専門店、倉庫など、その多くが浸水した。ムラーノのガラスを応援するファンドはこちら。
発起人 マエストロ ダヴィデ・フイン http://www.davidefuin.com
たくさんの、ほとんどの人気レストランやショップも大きな浸水に見舞われた。
多くの野菜料理や無国籍風の肉料理で外国人観光客にもリピーターの多いオステリア・ラ・ズッカは、残念ながら予約の電話に応えられないと、テーブルの高さまで浸水した様子の写真をあえて公表。その後、ファンの1人が立ち上げたというファンディング・サイトから直接寄付が可能となった。
ホテルなど宿泊施設でもそれぞれ被害があったが、中でもロンドラ・パラス・ホテルは、併設レストランを含み全て29日まで完全に閉業。
本島の南岸、約25年前から父と息子で経営していた新聞スタンドは、スタンドごと吹き飛ばされてしまった。再建を応援するために立ち上げられたサイトでは、あっというまにまとまった金額が寄せられたのも話題となった。
https://www.gofundme.com/f/ricostruzione-edicola-walter-zattere-venezia
スーパーなども日曜日までは閉まっているところも多かったようだが、18日(月)あたりから、ぼちぼち、日常を取り戻している模様。もっとも、歴史的高潮の翌日も、市の清掃員の方々がゴミ収集の台車を引いて、ザブザブの水の中を歩く姿も、たくさん写真を見かけた。彼らはまた「パッサレッレ」の準備・片付けの役割も担っている。消防隊員らとともに、アックア・アルタ時の真のヒーローと言っても過言ではないだろう。(写真はansa.it より拝借)
一部、英文からの翻訳で、ヴェネツィアが「壊滅寸前」と報道されているのを見かけたが、それは違うと思う。多くの人が経験したことのない水害に見舞われたけれど、たくましくしぶといヴェネツィア人たちは既に、前を向いて立ち上がろうとしている。一千年以上もこうして水の上で成り立ってきたヴェネツィアは、そう簡単に壊滅はしない。ただ、それぞれ個人が営む小さな工房やショップ、レストランなど、ほんとうにたくさんの現場が簡単ではない被害を受けているのは事実。ヴェネツィアに赴き、製品を購入し、味わうことが一番の応援になるはずだと信じている。
また、ヴェネツィアと同時に、イタリア南部、洞窟住宅で知られるマテーラでも洪水の被害に見舞われた。さらに、フィレンツェやローマ、シチリアでも悪天候による洪水などが一部で起きている。あちこちで大きな被害の出ないことを祈るばかり・・・。
19 nov 2019
今年は、仕事の事情などでビエンナーレ会期中の訪問は出来ずにいます。
個人的に来年2月のカーニバルの期間中に行く計画を練っております。
その時にでも、ヴェネツィアで沢山消費して来ます。
日本では表面的なニュースしか分からず、こうして深刻な状況が
分かっただけでも感謝いたします。
SNSからは、ヴェネツィアの人々が、ジョークや皮肉など軽口を叩きながら、仕事に戻っていく様子がみて取れるようになってきました。簡単なことではないと思いますが、なんとか、みんな頑張ってほしいです。
今年はおいでにならないのですね。こちらは、ビエンナーレの紹介もようやくこれからです・・・。