第58回ヴェネツィア・ビエンナーレ~金獅子賞のリトアニア館 |
今週末11月24日(日)に閉幕を迎える今年のビエンナーレ国際現代美術展。
11月に入って一気に紹介しよう~・・・などと思っていたら、そのヴェネツィアが記録的高潮に見舞われ、気を揉んでいるうちにすっかり遅くなってしまった。
砂浜にそれぞれ思い思いの場所に敷物をしいて、あるいはビーチベッドを広げてのんびり。本を読むもよし、ゲームをするもよし、ラジオを聴いたり、クロスワードに取り組むのも、ゴシップ誌をパラパラとめくるのも、もちろんウトウトと昼寝ができれば最高!夏ともなればヴェネツィアのリド島で、いやきっと世界中あちこちで見られる、なんてことない風景。季節がすっかり変わって、太陽の見えないうすら寒い中を1時間も並んでようやく入ったためよけいに、夏のあの暑さを懐かしくありがたく感じる。
今年のビエンナーレで国別参加部門で見事、金獅子賞に輝いたのは、アルセナーレ地区、と言ってもメイン会場の中ではなく町中の建物に作られたリトアニア館。ビーチでくつろぐ人々を、観客は上から見下ろすという、シンプルでわかりやすく、だがそれが返って新鮮だったこともあるだろう、”Sun&Sea (Marina)”というタイトルの展示は、多くのメディアやSNSで好感を持って伝えられた。
なにげない夏の休日の風景、そこに時にソロで、時に合唱で、そうっと響く歌声がさらにリラックス感を増す。だが、こうして、私たちがただのんびりとしているだけのつもりでも、実は急激な環境の変化、温暖化に一人一人が少しずつ、加担している。
パフォーマンス込みの展示は、ビエンナーレ期間中でも実際に体験できる人が限られるという点で、個人的にはあまりフェアじゃないなーと常々思っている。だが、あまりにもたくさんのビジュアル・アート、映像、インスタレーションがあふれるこのビエンナーレという一大イベントにおいて、生身の「人」によるパフォーマンスに、ぐっと心が引きよせられるのも否定できない。
そしてこのリトアニア館は確かに、やはり見て、体験してよかった。
閉幕まであと数日に迫ったビエンナーレ、アルセナーレとジャルディーニの両メイン会場は、通常通りオープンしている。町中の展示については、先週の高潮の影響でクローズしているところもあるので、随時、要確認。
LITUANIA
Sun & Sea (Marina)
10月31日まで(パフォーマンスは、水・土の10.00-18.00)会期終了
Commissario: Rasa Antanavičıūte.
Curatore: Lucia Pietroiusti.
Espositori: Lina Lapelyte, Vaiva Grainyte e Rugile Barzdziukaite.
Sede: Edificio 42, Arsenale Marina Militare, Fondamenta Case Nuove 2738/C (nei pressi di Campo de la Celestia)
第58回国際現代美術展
2019年5月11日〜11月24日
58° Esposizione Internazionale d’arte
11 mag - 24 nov 2019
https://www.labiennale.org/it/arte/2019
20 nov 2019