第58回ビエンナーレ・8~閉幕、日本館に思う |
5月11日に開幕し、半年以上にわたり公開していたヴェネツィア・ビエンナーレが昨日、閉幕した。来場者数は、593,616人、目標としていた60万人にわずかに届かず、とはいえ、今月に入ってラストスパートというところでのあのアックアアルタ、主催者としてはなんとかここまでたどり着けただけでもほっとしていることだろう。一昨年の615,152人を下回っているものの、何れにしても60万人弱という数字は、期間が長いこともあるが、イタリア中のどの他の展覧会にも叶わぬ圧倒的な人数であることには変わりない。
国別パビリオンの数は90。うち、ジャルディーニ会場に30、アルセナーレ会場に25、さらに町中に35。うち、初参加は、ガーナ、マダガスカル、マレーシア、パキスタン。他に、公式企画展の中には、香港や台湾、スコットランドやウェールズなど、常連の地域参加もある。
その中で、ジャルディーニ内に自国館を持つ日本の展示は、世界中からやってきたビジターたちにどう見られたのだろう。
世界語となっている「TSUNAMI」、その津波により打ち上げられた巨石と、そこから生まれ、そこで育まれる植物や動物、そして神話。多くの災害に見舞われながらも、その自然と共存してきた日本の文化の原点があると言ってよいだろう。
広い会場で歩き回って疲れたビジターたちが、目の前のソファを見て、とりあえず腰を下ろす。ひといきつくとやがて、ぼわん、ぼわんと弾む空気マットレスの空気が、細いチューブを伝って会場内にいくつかぶら下がっているリコーダーを鳴らしているのに気づく。見ると、リコーダーの運指はプログラミングされており、あちらが鳴ったり、こちらが鳴ったりで合奏が続いていく。自然と人間、シンプルな仕組みとハイテク、さまざまな要素が相反するのではなく、お互いを尊重し共存していくところに美を見出そうという日本の哲学が、少しでも多くの人に伝わっただろうか。
日本
GIAPPONE
Cosmo-Eggs
Commissario: The Japan Foundation.
Curatore: Hiroyuki Hattori(服部博之)
Espositori: Motoyuki Shitamichi(下道基行、美術家), Taro Yasuno(安野太郎、作曲家), Toshiaki Ishikura(石倉敏明、人類学者), Fuminori Nousaku(能作文徳、建築家).
大雨の中、アックアアルタの中、真夏の猛暑の中、ビエンナーレという巨大な美術展を訪れ、歩き回り、びっくりさせられたり、笑ったり怒ったり、60万の人々がそれぞれいろいろな意味で楽しんで、めちゃくちゃ大変だったけど、やっぱりまた来たいな、と思って帰路についていてくれたらいいなあと、心から思う。
会期は終了したものの、ここでの紹介はまだまだ当分続きます。
第58回国際現代美術展
2019年5月11日~11月24日(会期終了)
58° Esposizione Internazionale d’arte
11 mag - 24 nov 2019
https://www.labiennale.org/it/arte/2019
25 nov 2019
今年も行く予定でしたが、春から色々と仕事上の問題があり、諦めました。
ただビエンナーレに拘らず、毎年イタリアにはどこかの街へ行きたいと
考えています。
また、ベネツィアやイタリアの記事を楽しみにしています。
イタリア、どこへ行ってもやはり魅力的ですね、ビエンナーレは終わってしまいましたが、ぜひどこかへお出かけください!