夢を、見ているはずなのに思い出せない。
確かに何かを見た記憶はある、だが、そう、それが何だったのか・・・。
最近はなんだか、そんなことが多いのはだんだん年を重ねているせいなのか、ただたまたまなのか。以前は夢で見たことをハッキリと覚えていて、一時はそれを手帳につけてみようと思ったこともある。何か重要な日の遅刻や寝坊はもちろん、リアルな夢が多いから、起きたこと、覚えていることが果たして夢の中のできごとだったのか、現実に起きたことなのか、あやふやになってしまうこともあった。
・・・でも残念ながら、東京のイケメン高校生、瀧くんに自分がなってしまう夢を見たことは(おそらく)今のところ一度もない。
運命の出会い。
それが夢の中で、こんな形で予見されていたとしたら。
すがすがしいほどのラヴ・ストーリー、決してこっぱずかしくならないのは、作品の力だろうか。スマホという、現代に不可欠なアイテムを介しつつも、日記とメッセージによるやりとりは、まるで平安時代の男女さえ思わせる。
東京の都心のビル街と、自然と伝統に守られた飛騨の山中と、対比する、だがどちらも美しい日本の風景や情景はしばしば幻想的ながらもあくまでもリアル。その中で動くのは、私たちにあまりにも馴染み深い、日本の「アニメ顔」の登場人物たち。
押し付けを感じさせない優しい映像と、文字通り「夢」のあるストーリーと、そこにやや控えめに、でも肝心のところでぐっとたたみかける音楽と。それぞれがただただ美しく、そうして織りなすハーモニーはアニメーションならではで、いつしかその世界に引き込まれていく。
何かのメッセージでもアートでもなく、ただ純粋に映画として映画館で楽しむための映画。
イタリアでも公開されるといいなあ・・・。
君の名は。
監督 新海誠
音楽 RADWIMPS
出演 神木隆之介、上白石萌音ほか
http://www.kiminona.com/
26 nov 2016